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正常眼圧緑内障とは
正常眼圧緑内障(Normal Tension Glaucoma, NTG)は、眼圧が正常範囲(10〜21 mmHg)内であるにもかかわらず、視神経が損傷されて視野が欠ける緑内障の一種です。NTGは特に日本を含むアジア諸国で多く見られます。
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症状
正常眼圧緑内障の症状は、他の緑内障と同様に視野の欠損が主な症状です。初期には自覚症状がほとんどなく、進行するまで気づかないことが多いです。進行すると以下の症状が現れます。
・視野欠損:特に周辺視野が徐々に狭くなります。中心視野が保たれるため、視力の低下は感じにくいことがあります。
・視力低下:視野欠損が進行すると、中心視野にも影響が及び、視力が低下することがあります。
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原因
正常眼圧緑内障の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
・血流障害:視神経への血流が不十分であることが原因とされることがあります。
・脆弱な視神経:視神経が眼圧に対して脆弱であるため、正常な眼圧でも損傷が生じることがあります。
・遺伝的要因:家族歴がある場合、リスクが高まります。
・低血圧:特に夜間の血圧低下が視神経に影響を与えることがあります。
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診断方法
正常眼圧緑内障の診断には以下の方法が用いられます。
・眼圧測定:眼圧を測定し、正常範囲内であることを確認します。
・視野検査:視野の広がりと欠損を評価します。
・視神経検査:視神経の状態を観察し、損傷の有無を確認します。
・OCT(光干渉断層計):視神経や網膜の詳細な断層画像を取得し、損傷の程度を評価します。
・隅角検査:眼の隅角の開放状態を確認します。
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治療方法
正常眼圧緑内障の治療は、眼圧をさらに下げることで視神経の損傷を抑制することを目的としています。治療法には以下のものがあります。
・薬物療法:眼圧を下げるための点眼薬が主に使用されます。プロスタグランジン類似薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などがあります。
・レーザー治療:レーザーを使用して房水の排出を促進し、眼圧を下げる方法です。レーザー線維柱帯形成術(ALT)や選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)が一般的です。
・手術:薬物療法やレーザー治療が効果を示さない場合、外科的手術が検討されます。線維柱帯切除術や房水シャント手術などがあります。