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もやもや病とは
もやもや病(Moyamoya病)は、脳の基底部にある内頚動脈の末端部分や、これに続く中大脳動脈や前大脳動脈の狭窄や閉塞が進行し、結果として脳への血流が不足する病気です。この病気は、主に日本を含む東アジアで多く見られます。内頚動脈の狭窄により、脳は新たな血管網を形成して血流を補おうとしますが、その血管網が細くて脆弱であるため、血流が不十分な状態が続きます。MRIやMRAで撮影すると、この新たな血管網が「もやもや」と見えることから、「もやもや病」と名付けられました。
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症状
もやもや病の症状は、脳への血流不足によりさまざまな形で現れます。一般的な症状には以下のものがあります。
・虚血発作:一過性脳虚血発作(TIA)や脳梗塞による症状。片側の手足の麻痺やしびれ、言語障害、視覚障害など。
・頭痛:特に片頭痛のような強い頭痛が見られることがあります。
・けいれん発作:特に子供に多く見られる症状です。
・認知機能の低下:注意力や記憶力の低下が見られることがあります。
・出血:脳内出血やくも膜下出血が発生することがあります。これは脆弱な新生血管が破れやすいためです。
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原因
もやもや病の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が考えられています。
・遺伝的要因:もやもや病は家族内発生が認められることがあり、遺伝的要因が関与していると考えられています。特定の遺伝子変異が関連している可能性があります。
・環境要因:環境要因も発症に影響を与える可能性がありますが、詳細は不明です。
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診断方法
もやもや病の診断には以下の方法が用いられます。
・MRI(磁気共鳴画像):脳の構造を詳細に観察し、もやもや病の特徴的な血管の異常を確認します。
・MRA(磁気共鳴血管造影):脳血管の詳細な画像を取得し、血管の狭窄や新生血管の形成を確認します。
・脳血管造影:カテーテルを用いて血管内に造影剤を注入し、X線で血管の状態を詳しく観察します。
・SPECT(単一光子放射断層撮影):脳の血流状態を評価するために使用されます。
・CTスキャン:脳出血や脳梗塞の有無を確認します。
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治療方法
もやもや病の治療は、症状の管理と脳への血流改善を目的としています。治療法には以下のものがあります。
・内科的治療:血液の流れを良くするための抗血小板薬(アスピリンなど)が使用されます。
・外科的治療:血行再建術が行われます。代表的な方法には以下があります:
・直接血行再建術:頭皮の動脈を脳の表面の動脈に直接つなぐ手術です(STA-MCA吻合術)。
・間接血行再建術:筋肉や頭皮の血管を脳の表面に配置し、新たな血管が自然に成長して血流を改善する方法です(EDAS術やEMS術)。
・生活習慣の改善:ストレス管理や適切な栄養、定期的な運動が推奨されます。