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ハンセン病とは

ハンセン病(Hansen’s disease、またはLeprosy)は、Mycobacterium leprae(マイコバクテリウム・レプラエ)という細菌が引き起こす慢性の感染症です。主に皮膚、末梢神経、上気道、および眼に影響を及ぼします。ハンセン病は、適切な治療を受ければ治癒可能ですが、放置すると重篤な障害を引き起こすことがあります。また、歴史的に強いスティグマ(偏見)が伴っています。そのため、患者やその家族が社会的に孤立することが多くあります。しかし、現代ではハンセン病は治療可能な病気であり、患者への正しい知識と理解が必要です。

ハンセン病患者の手の写真

症状

ハンセン病の症状は、感染部位や病状の進行度によって異なります。主な症状は以下の通りです。

・皮膚症状

   ①皮膚の斑点:色素沈着や脱色素斑が現れ、感覚が鈍くなることがあります。

   ②しこりや腫れ:皮膚にしこりや腫れが生じることがあります。

   ③潰瘍:皮膚に潰瘍ができることがあります。

・神経症状

   ①末梢神経の損傷:手足の感覚が鈍くなる、または失われることがあります。

   ②筋力低下:手足の筋力が低下し、動かしにくくなることがあります。

   ③神経痛:末梢神経が侵されることで痛みが生じることがあります。

・その他の症状

   ①眼の症状:重度の場合、眼に影響を及ぼし、視力が低下することがあります。

   ②鼻の症状:鼻の中の粘膜が侵され、鼻づまりや出血が起こることがあります。

原因

ハンセン病の原因は、Mycobacterium lepraeという細菌です。この細菌はゆっくりと増殖し、感染症が進行するまでには長い潜伏期間(通常は3〜5年、場合によっては20年)があることが特徴です。またこの疾患は、感染者との密接な接触を通じて伝染します。主な感染経路は以下の通りです。

・飛沫感染:感染者の咳やくしゃみによる飛沫を吸い込むことで感染することがあります。

・皮膚接触:感染者の皮膚に直接触れることでも感染する可能性がありますが、これは比較的まれです。

診断方法

ハンセン病の診断には以下の方法が用いられます。

・臨床診断:皮膚の変化や感覚の鈍化などの臨床症状に基づきます。

・皮膚生検:皮膚のサンプルを顕微鏡で観察し、Mycobacterium lepraeの存在を確認します。

・スリットスキンスメア検査:皮膚から細胞を採取し、細菌を染色して顕微鏡で観察します。

・血液検査:特定の抗体やDNAを検出することで診断を補助します。

治療方法

ハンセン病は、抗生物質を用いた多剤併用療法(MDT)で治療されます。治療により細菌の増殖を止め、感染を治癒することが可能です。主な治療薬は以下の通りです。

・リファンピシン:非常に効果的で、月に一度の服用が必要です。

・ダプソン:毎日服用する抗生物質。

・クロファジミン:毎日または月に一度の服用が必要です。

治療期間は通常6ヶ月から2年程度ですが、症状の重さや細菌の耐性によって異なることがあります。

予防

ハンセン病の予防には、以下の対策が有効です。

・早期診断と治療:感染が広がる前に早期に診断し、治療を開始することが重要です。

・密接な接触の回避:感染者との密接な接触を避けること。

・衛生管理:清潔な環境を維持し、個人衛生に気を付けること。