Web予約
アクセス
お問合せ

筋萎縮性側索硬化症とは

筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう、Amyotrophic Lateral Sclerosis、ALS)は、運動ニューロン(運動神経細胞)が徐々に変性・消失することで、筋肉の萎縮と筋力低下を引き起こす進行性の神経変性疾患です。ALSは脳から脊髄、筋肉へ信号を伝達する運動ニューロンに影響を与え、結果として筋肉の制御が失われます。ALSは現在のところ治癒する方法がない難病ですが、適切な治療とケアにより症状を管理し、患者の生活の質を向上させることができます。

筋萎縮性側索硬化症の患部となる、全身の筋肉のイメージ写真

症状

ALSの主な症状は、筋力低下と筋萎縮です。初期症状はさまざまですが、以下のようなものがあります。

・手や腕の筋力低下:物を持ち上げる、ボタンを留めるなどの動作が困難になります。

・足や脚の筋力低下:歩行が難しくなり、つまずきやすくなります。

・筋肉の痙攣(けいれん)や筋肉の引きつり:筋肉がピクピクと動くことがあります。

・発話や嚥下の困難:言葉が不明瞭になり、飲み込みが難しくなります。

・呼吸困難:進行するにつれて呼吸筋が影響を受け、呼吸が困難になります。

原因

ALSの正確な原因は不明ですが、以下の要因が関与していると考えられています。

・遺伝的要因:家族性ALSは全体の約5~10%を占め、遺伝子変異(SOD1、C9orf72など)が原因となります。

・環境要因:環境毒素、喫煙、重金属曝露、特定のウイルス感染などがリスクを高める可能性があります。

・その他の要因:老化、免疫系の異常、酸化ストレス、グルタミン酸の過剰な放出などが考えられます。

診断方法

ALSの診断は、以下の手順を通じて行われます。

・臨床診察:神経学的検査で筋力、反射、筋肉のトーン、協調性、感覚を評価します。

・電気診断検査

   ①筋電図(EMG):筋肉の電気活動を測定し、筋肉の異常を確認します。

   ②神経伝導速度検査(NCV):神経の伝導速度を測定し、神経の異常を確認します。

・画像検査:脳や脊髄のMRIを使用して、他の病気(脳卒中、脊髄腫瘍など)を除外します。

・血液検査:他の原因を除外するために、さまざまな血液検査を行います。

治療方法

ALSは進行性の疾患であり、現在のところ完治する治療法はありませんが、以下の治療法が症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させるために使用されます。

・薬物療法

   ①リルゾール:グルタミン酸の放出を抑制し、病気の進行をわずかに遅らせる効果があります。

   ②エダラボン:抗酸化作用を持ち、病気の進行を遅らせる可能性があります。

・リハビリテーション

   ①理学療法:筋力、柔軟性、運動能力を維持するためのエクササイズを行います。

   ②作業療法:日常生活の動作を支援し、適応するための方法を提供します。

   ③言語療法:発話や嚥下の困難に対処するための訓練を行います。

・呼吸管理

   ①非侵襲的人工呼吸器(NIPPV):呼吸を助けるために使用されます。

   ②気管切開:進行した場合、呼吸を助けるために気管切開が行われることがあります。

・栄養管理

   ①経口摂取のサポート:嚥下が困難な場合、適切な食事の提供や嚥下訓練を行います。

   ②経管栄養:進行した場合、胃瘻(胃に直接チューブを挿入する)を行うことがあります。