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前立腺がんとは
前立腺がんは、前立腺の細胞ががん化し異常増殖する疾患です。前立腺は、男性の生殖器系の一部で、膀胱の下に位置し、精液の一部を生成する腺です。前立腺がんは、米国では男性に発症するがんの中で最も多く見られるがんであり、特に高齢の男性で発生率が高いです。
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症状
初期の前立腺がんは無症状であることが多いですが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。
・排尿障害:頻尿、排尿困難、尿が出にくい、尿の勢いが弱いなど、前立腺肥大症に似た症状が見られます。
・血尿:尿中に血が混じることがあります。
・腰痛や骨痛:がんが骨に転移すると、腰や骨に痛みを感じることがあります。前立腺がんの患者で、がんの転移が最も多くみられるのは骨です。
・勃起不全:勃起機能に問題が生じることがあります。
・体重減少と疲労:がんが進行すると体重減少や全身の倦怠感が現れることがあります。
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原因
前立腺がんの具体的な原因は完全には解明されていませんが、以下のリスク要因が知られています。
・年齢:前立腺がんは高齢の男性に多く見られ、特に50歳以上でリスクが増加します。
・家族歴:父親や兄弟に前立腺がんの既往がある場合、リスクが高まります。また、乳がんや卵巣がんなど、他のがん患者がいる男性もリスクが高まります。
・遺伝的要因:特定の遺伝子変異が前立腺がんのリスクを増加させることがわかっています。
・人種:黒人やヒスパニック系の方は他の人種よりもリスクが高いです。
・食事:高脂肪食や赤身肉の多い食事がリスクを増加させる可能性があります。
・ホルモン:テストステロンなどの男性ホルモンが前立腺がんの成長に影響を与えることがあります。
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診断方法
前立腺がんの診断には以下の方法が用いられます。
・血液検査:前立腺特異抗原(PSA)の血液中の濃度を測定します。PSA値が高い場合、前立腺がんの可能性があります。PSAとは前立腺でのみつくられる物質です。
・直腸指診(DRE):医師が直腸を通して前立腺を触診し、異常を確認します。
・生検(針生検を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。
・画像検査:MRIやCTスキャン、骨シンチグラフィーなどでがんの広がりや転移の有無を調べます。
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治療方法
前立腺がんの治療法は、がんの進行度や患者の年齢、全身状態によって異なります。
・監視療法:進行が遅く、症状がない場合は、定期的な検査を行いながら経過を観察することがあります。
・手術:前立腺全摘除術が行われることがあります。ロボット支援手術も一般的です。
・放射線療法:外部放射線療法や内部放射線療法(ブラキセラピー)が行われます。
・ホルモン療法:テストステロンの作用を抑える薬物療法が行われることがあります。
・化学療法:進行がんやホルモン療法が効かなくなった場合に行われます。