|
肺がんとは
肺がんは、肺の組織に発生する悪性腫瘍で、男女とも一番死者数の多いがんです。(※部位別となります。)
また、肺がんは主に2つの大きなグループに分類されます。
・非小細胞肺がん(NSCLC):肺がんの約85%を占めます。小細胞肺がんと比べると進行は遅いです。非小細胞肺がんで多くみられるのは下記3つです。
①肺腺がん:最も一般的なタイプで、特に女性や非喫煙者に多く見られます。
②扁平上皮がん:肺の入り口近く(肺門部)にできることが多く、
喫煙との関連が強い特徴があります。
3大細胞がん:あらゆる場所に発生し、他の非小細胞肺がんよりも速く成長する傾向があります。
・小細胞肺がん(SCLC):肺がんの約10%を占め、非常に進行が速いのが特徴です。喫煙と関係が深いことも知られています。
|
症状
肺がんの初期段階では症状が現れにくいですが、進行すると以下のような症状が見られることがあります。
・持続する咳:特に治らない、または悪化する咳。
・血痰:痰に血が混じることがあります。
・胸痛:深呼吸や咳をすると悪化する胸部の痛み。
・息切れ:特に運動時の呼吸困難。
・体重減少:意図しない体重減少。
・倦怠感:持続的な疲労感や全身の倦怠感。
|
原因
肺がんの原因とリスク要因には以下のものがあります。
・喫煙:肺がんの主要なリスク要因であり、肺がん患者の約85%は喫煙者です。特に小細胞肺がんのリスクを大幅に高めます。タバコの煙には多数の発がん物質が含まれていまれており、受動喫煙も喫煙と同様にリスクを高めます。
・職業的暴露:有害物質への暴露。(アスベスト、ラドン、ベンゼン、コークス炉排出物、多環芳香族炭化水素、クロム酸塩、クロロメチルエーテル、放射線、ヒ素、ニッケル、マスタードガス等)
※暴露(曝露・ばくろ)とは医療において、食べる・呼吸・触る等で、体内へ化学物質が入ることを言います。
・大気汚染:長期間にわたる大気汚染への曝露。
・遺伝的要因:家族歴がある場合、リスクが高まります。
・肺疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症などの既往。
|
診断方法
肺がんの診断には以下の方法が用いられます。
・画像検査:胸部X線やCTスキャンで肺の異常を確認します。
・喀痰細胞診:痰を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を確認します。
・気管支鏡検査:内視鏡を用いて気管支や肺の内部を直接観察し、生検を行います。
・針生検:画像ガイド下で針を用いて腫瘍組織を採取し、顕微鏡で観察します。
・PETスキャン:がんの広がりや転移を調べるために使用されます。
|
治療方法
肺腺がんの治療法は、がんの進行度や患者の全身状態に依存します。
・手術:がんが限局している場合、がんの部分を切除する手術が行われます。部分切除、葉切除、全摘が含まれます。
・放射線療法:完治を目的とした根治的放射線治療と、症状を和らげることを目的とする緩和的放射線治療があります。根治的勝者では化学療法と組み合わせることがあります。
・化学療法:抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃します。術前・術後、または進行がんの場合に使用されます。
・分子標的治療:特定の遺伝子変異に基づく治療法で、EGFR変異をターゲットとしたエルロチニブやゲフィチニブ、ALK融合遺伝子をターゲットとしたクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブなどの薬が使用されます。
・免疫療法:病状や治療の状況によって、がん遺伝子検査が行われることがあり、その結果によっては、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を使う場合があります。